在日米軍や自衛隊の航空機による騒音被害の解消を求め、法廷闘争を続けている全国7基地の騒音訴訟原告団の交流集会が29日、厚木基地の立地する大和市内で開かれた。八つの原告団の約100人が参加。訴訟では国に賠償を命じつつも、肝心の航空機の飛行差し止めに関しては容認しない判断が繰り返されており、出席者が悲願の達成に向けて意見交換を重ねた。
交流集会は、全国基地爆音訴訟原告団連絡会議の主催で5回目。厚木、小松(石川県)、岩国(山口県)、嘉手納(沖縄県)、普天間(同)、横田(東京都)、新田原(宮崎県)の各基地周辺住民でそれぞれ立ち上げた原告団が参加。訴訟では、いずれの原告団も住民の健康被害を訴え、航空機の飛行差し止めと損害賠償を求めている。
第5次厚木基地爆音訴訟原告団副団長で、同連絡会議の金子豊貴男代表は「連絡会議の活動は11年目を迎える。原告団の間で連携が生まれるなど成果が出る一方で、飛行差し止め棄却の判決が続いている。厚木では空母艦載機の岩国移駐により激しい騒音が減る中、基地返還に向けた運動をしていかなければならない」とあいさつした。
続いて各原告団が裁判経過や課題などを報告。岩国爆音訴訟原告団の大月純子事務局次長は「騒音がこれほどひどいと思わなかったと移駐容認派からも声が上がっている。10月下旬の控訴審判決で被害を正しく認定してもらうため署名活動も行っている」と説明した。
北海道大学の松井利仁教授が「騒音訴訟での科学的知見の使い方」と題して講演も行った。直接の指揮命令権を持たない日本政府に米軍機の飛行差し止めを求めることはできないとする「第三者行為論」など従来の司法判断を説明した上で、差し止めを勝ち取るために「国内の環境基準より厳しい、2018年に示された世界保健機関(WHO)のガイドラインを採用し、環境性睡眠障害の診断書を得た個別被害の立証に力を注ぐよう転換すべきだ」と指南した。
神奈川新聞社
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